1-1. 1988年に気候変動に関する政府間パネルIPCCが発足したが、IPCCが1995年末に発表した「第二次評価報告書」によると、人間活動による地球の温暖化が気候、降水量、海面の高さなどに影響し始めている、と懸念を表明している。
また、IPCCはこの報告書で初めて、気候変動に対処するための社会経済的視点からの政策のあり方について検討した。現段階の知見を基礎とした政策としては、さまざまな政策のポートフォリオ(詰め合わせ)をそれぞれの国や地域が実施する方策がよいと考えられている。政策ポートフォリオに含められているものとしては、①ほぼゼロに近いかあるいは低いコストで実施可能であることが分かっている政策手段をただちに実施すること②効率性を低下させることが明白であるようなエネルギー政策(例えば化石燃料への助成金)の廃止③炭素集約的燃料(石炭)から炭素集約度の低いそれへの燃料転換の促進④二酸化炭素吸収源の拡大⑤共同実施や技術移転による国際協力の推進⑥気候変動に関する基礎研究⑦エネルギー効率改善、低排出技術、非化石燃料エネルギー技術等の開発⑧温暖化に対する適応政策⑨国際的リスク分担機構の創設等...