喀血
1 症状が生じる病態生理
1.喀血とは
喀血とは,咽頭,気管,気管支,肺実質からの出血で,1回の喀出血液量が2mL以上のものをいう.
喀血の性状は鮮紅色で泡沫状であり,凝固性が低く,アルカリ性である同ただし,喀血の量や状況により変化することがある.
2.喀血の起こるメカニズム
外傷,異物,血管壁の障害,炎症,腫瘍,出血性素因などの原因・誘因による病変が,肺内の血管へ波及して破れ,血液が気道に入った場合にみられる.
くしゃみ,咳嗽,むせ,あくび,深呼吸,努責,血圧上昇などは,喀血の誘発因子になることがある.
喀血の性状は,量および状況によって変化がみられる.
血液が混入した喀痰を血痰という.喀痰に線状に血液が混入するものから,血液が凝固するものまであり,比較的多量の血液が混じるものを指す.
血痰は気道・肺胞系の血管の破綻によって出現し,肺結核,気管支拡張症,肺血管損傷などにみられる.
3.喀血の原因
1)外傷,異物
肋骨骨折,胸部外傷などによる肺損傷により生じる.骨折した肋骨の断片が肺実質に刺さることがある.
気管支結石や気管内異物などが,気道や肺実質に損傷を与える.
2)呼吸器疾...