監獄法は諸々の規定で、在監者の自由の制限内容を定める権限を命令に委任している(いわゆる白紙委任にあたるおそれが強く、違憲の疑いもあるが、最判例は特に問題としていない)。この委任を受けて、監獄法施行規則に制限の具体的内容が定められており、規則の適用・運用を行う裁量権は、監獄法により各監獄の所長に与えられている。
以下では特に人権侵害が疑われる制限を例示しておく。
?図書・新聞紙の閲読の制限
*図書:身柄の確保を阻害する恐れのないもので、かつ紀律を害する恐れのないものでなければならない。
・未決拘禁者の場合:罪証隠滅に資する恐れのないもの
・受刑者の場合:その者の教化上適当なもの
・死刑確定者の場合:その者の心情の安定を害する恐れのないもの
教科書講読 I、人権編 4、誰の人権か
「人権の保障と制限」
Ⅲ、「在監者の人権」
1、在監者
(1)在監者=監獄に強制的に収容されている者
Ex,自由刑の受刑者
未決拘禁の刑事被告人・刑事被疑者
死刑囚
労役場留置者
(2)在監の目的
・共通の目的:拘禁の確保、戒護→逃亡・罪証隠滅・自他殺傷の防止
・受刑者:共通の目的+矯正教化
⇒これらの目的を達成するために、房内の規律を維持する集団の管理が必要とされている。
→監獄法、監獄法施行規則
2、人権の制限
(1)特に問題となる人権の制限事例
・図書・新聞紙の閲読の制限(監獄法31条、同法施行規則86条)
⇒知る権利の制限
・信書の発受・接見の制限(法45条~50条、規則121条~139条)
⇒外部交通権の制限
・飲酒・喫煙の禁止(規則96条)
(2)制限の内容
監獄法は諸々の規定で、在監者の自由の制限内容を定める権限を命令に委任している(いわゆる白紙委任にあたるおそれが強く、違憲の疑いもあるが、最判例は特に問題としていない)。この委任を受けて、...