日本国憲法は、我が国が「国民主権」を原則とする民主主義国家であることを前文(第一段)と1条後段で明示的でないながらも、その旨を示している。そして、我が国における国民主権の原則は、民主的政治過程の保障を通じて実現されると明言している。つまり、対内的最高性を有するのは国権であり、その国家の意思決定(国政の最終決定)を行う権限は国民に帰属するというのである。こうした国家の意思決定を、国家の構成員たる国民に委ねる以上、国政に対する国民の意思決定を問うことが必要となる。その過程が公職者の選挙制度であり、各種の国民投票制度である。こうした制度を設け、国民が国政に参画するために保障することが要請される権利が参政権である。
教科書講読 Ⅰ、人権編 10、裁判・政治と人権
「参政権」
Ⅰ、参政権の法的性質
1、始めに
日本国憲法は、我が国が「国民主権」を原則とする民主主義国家であることを前文(第一段)と1条後段で明示的でないながらも、その旨を示している。そして、我が国における国民主権の原則は、民主的政治過程の保障を通じて実現されると明言している。つまり、対内的最高性を有するのは国権であり、その国家の意思決定(国政の最終決定)を行う権限は国民に帰属するというのである。こうした国家の意思決定を、国家の構成員たる国民に委ねる以上、国政に対する国民の意思決定を問うことが必要となる。その過程が公職者の選挙制度であり、各種の国民投票制度である。こうした制度を設け、国民が国政に参画するために保障することが要請される権利が参政権である。
2、参政権
(1)参政権とは
参政権=国民が、主権者として、直接または代表者を通じて、国又は地方 公共団体の政治に参加する権利。 (野中他『憲法Ⅰ(3版)』有斐閣4...