精神療法
1.精神療法における患者一治療考関係
1)精神療法とは何か
(1)精神療法の意義
精神分析療法にしても、森田療法にしても、精神療法の多くは当初、神経症治療の特殊な方法として開発されたものであった。しかし現在では、後述するような様々な精神療法が試みられるようになっており、神経症治療に限らず、
①統合失調症やうつ病などの精神病領域の障害
②分裂病質人格障害や境界人格障害など、低いレベルの人格障害
③内的な葛藤を否認する傾向の強い心身症
④家族間の結びつきや交流の、著しい偏りを背景に生じるある種の精神障害
などに活用されている。また、これまで精神療法が困難もしくは無効とされた障害に対しても行われるようになっている。
そして、これらの精神療法的介入は、治療関係や病状の安定化、偏りの著しい人格の再編成、患者を抱える家族機能の改善などに、重要な影響を与えうることが認識されてきている。
精神療法には、日々の診療のなかの言葉や態度で患者の治療意欲を増加させたり、不安を和らげたり、冷静さを取り戻させようとするものがある。また、系統的な理論に基づき、そのための時間を設定して行われる探索的精神療法...