[1]ゲル濾過によるタンパク質の分離・精製

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    タンパク質の精製と機能・構造
    [1]ゲル濾過によるタンパク質の分離・精製
    1.目的:タンパク質を分子量(size)の違いによって分画するゲル濾過法を習得する。
    2.試薬
    カラム(PD10)
    緩衝液(25mM Tris-HCl,pH8.0,0.3M NaCl)
    サンプル(フィブリノーゲン+VB₂) 
    スタンダード(フィブリノーゲン) 1.6mg/mL
    タンパク質定量試薬(Pierce社 BCA Protein Assay Kit)
    3.方法
    PD⁻10カラムを垂直に固定し、下部の栓を開けてカラムに入っている液を抜いた。
    緩衝液25mLをカラムに流し、ゲルを平衡化させた。
    緩衝液1mLをメスピペットで量り取り、カラムに流した。緩衝液1mLは21滴に相当した。
    サンプル(2.5mL)をPD-10カラムの上に、静かに重層した。
    溶出液を小試験管に1mL(21滴)ずつ採った。サンプルがカラムに吸い込まれた後は、カラムを涸らさないように緩衝液を加えながら、溶出液を16本目まで取り続けた。10が一番黄色の発色が濃かった。
    色素が出終わったのでカロムを止めた。
    マイクロプレートのウェルに各試験管(1~16)中の溶液あるいはスタンダードを段階希釈した標準液(1.6,0.8,0.4,0.2,0.1,0.05,0.025,0.00125mg/mL)を10μLずつ入れた。
    タンパク質定量試薬を200μLずつ加えた。すぐに一部が紫色に呈色した。
    ビニールテープで蓋をしてインキュベーターに入れ37℃で30分反応させた。4番目、5番目の試験管とスタンダードの1.6,0.8,0.4mg/mLの溶液が紫色に呈色していた。
    プレートリーダーで550nmにおける吸光度を測定した。
    スタンダードの結果をプロットし、検量線を作成した。この検量線をもとにして、各試験管の溶液中のタンパク質濃度を求め、クロマトグラムを作成した。
    4.結果:
      試験管(1~16)中の溶液の吸光度    スタンダードを段階希釈した標準液の吸光度
    (mg/mL) 吸光度① 吸光度② 1.6 0.494 0.587 0.8 0.213 0.261 0.4 0.141 0.160 0.2 0.085 0.083 0.1 0.044 0.041 0.05 0.023 0.019 0.025 0.017 0.015 0.0125 0.006 0.006 (本目) 吸光度 (本目) 吸光度 1 0.002 9 0.019 2 0.004 10 0.016 3 0.069 11 0.016 4 0.310 12 0.018 5 0.200 13 0.000 6 0.026 14 0.008 7 0.026 15 0.001 8 0.020 16 0.007
    5.考察:
    ゲル濾過をしたので、高分子のタンパク質が先に、低分子の色素が後に溶出される。
    発色具合から見て10番目の試験管に低分子(色素)が一番多く含まれている。
    作成したクロマトグラムより4番目の試験管にタンパク質(高分子)が一番多く含まれている。
    タンパク質のピークフラクションが他の班より早めに現れたのは、1mLが21滴と滴数が多かったので、溶出されるまでの時間が長く、試験管中でタンパク質がはやく移動したからだと考えられる。
    [2]精製したタンパク質の活性測定
    目的:フィブリノーゲンが酵素(トロンビン)によってフィブリンに変換され、ゲル化する変化を実際に観察することにより、精製したタンパク質がフィブリノーゲンとしての機能を有するものであることを確認する。
    試薬
    ゲル濾過のピークフラクション
    フィブリノーゲン標準液1mg/mL
    トロンビン液10unit/mL
    方法:
    きれいなガラスの小試験管にサンプル(フィブリノーゲン標準液と精製したタンパク質)をそれぞれ0.5mLずつとった。
    トロンビン液を20mLずつ加えた。
    試験管を穏やかに転倒させながら、トロンビン添加時から、固まり始め水面を斜めに傾けても崩れないようになるまでの時間を測定した。
    結果:フィブリノーゲン標準液は2分57秒で、精製したフィブリノーゲンは3分20秒で水面を斜めに傾けても崩れない程度に凝固した。
    考察:精製したタンパク質はフィブリノーゲン標準液よりも時間はかかったが凝固したので、フィブリノーゲンとしての機能を有することがわかった。
    [3]SDS-ポリアクリルアミド電気泳動
    実験目的:一本鎖のタンパク質と、複数のサブユニットからなるタンパク質試料のSDS-PAGEを行い、それぞれのタンパク質がどのようなサブユニット組成を持つか、またそれぞれの分子量はどれくらいか、を調べる。
    試薬
    非還元用サンプル緩衝液
    還元用サンプル緩衝液
    泳動用緩衝液
    染色液
    脱色液
    方法
    サンプル1つにつき、非還元用と還元用サンプル緩衝液を10μLずつ入れ、それぞれ2本の電気泳動用サンプルを調製し、30秒間煮沸した。
    電気泳動装置の下部槽に泳動用緩衝液30mLを入れた。
    電気泳動装置に泳働用ゲルをセットした。
    電気泳動装置の上部槽に泳動用緩衝液60mLを入れた。
    左から、分子量マーカー、非還元用サンプル、還元用サンプルの順に、各8μLをゲル上部のウェルに静かに添加した。
    電源部を接続して、ACコンセントを入れた。メインスイッチをON。
    モードを設定し、出力ボタン(Run)を押して、泳動を開始した。
    30分ほどしてブザーがなったので、出力停止。メインスイッチをOFF。
    ACコンセントを抜き、電源部をはずした。
    ゲルを染色用容器に移し、染色液を加え、シェーカー上で10分間染色した。
    染色液を捨て、脱色液に交換し、15分おいて再び脱色液を交換した。
    ゲルのコピーより、分子量マーカー各バンドのRf値を求め、検量線を作成した。
    サンプルの各バンドのRf値を求め、作成した検量線からそれぞれの分子量を求め、各検体に含まれるタンパク質について考察した。
    結果
    泳動距離(cm) Rf値 分子量 1.5 0.27 94000 2.1 0.38 67000 3.0 0.55 43000 4.0 0.73 30000 5.2 0.95 20100 5.5 1.00 14400
    全泳動距離=5.5cm
    サンプル 泳動距離(cm) Rf値 分子量 非還元 0.2 0.036 ― 還元 2.2 0.40 63000 2.4 0.44 58000 2.6 0.47 54000 ※精製したタンパク質と標準のタンパク質はほぼ同じ値を示したので、結果はひとつにまとめて示すことにする。
    考察
    還元用サンプルでは3本のバンドが確認できた。これにより、フィブリノーゲンが3種類のサブユニットが架橋した構造をとっていることがわかる。検量線より3種類のサブユニットの分子量は小さいものから54,000、58,000、63,000である。3種類のサブユニットの分子量を足して2をかけると350,000((54,000+58,000+63,000)×2=350,000)となり、百科辞典マイペディアによるフィブリノーゲンの分子量340,000とほぼ一致する。このことより、フィブリノーゲンは3種類、計6個のサブユニットから構成されていると考えられる。
    非還元用サンプルでは1本のバンドが確認できた。しかし、サンプルを添加したウェルからほとんど移動していないので、還元されていないフィブリノーゲンは、球状タンパク質で、ゲルの網目構造を通過するのは困難だと考えられる。
    [問題]
    ・ピークフラクションの濃度が0.97mg/mLであるので、
    0.97×10³×1/2×8×10⁻³=3.88   ∴3.88μg
    ・A=εclより
    0.88=22×c×1
    c=0.04w/v%=0.04×10³/10²=0.04×10=0.4mg/mL=0.4μg/μL
    1/x=0.4 x=2.5   ∴2.5μL
    酵素の反応速度論
    [1]モル吸光係数の算出
    1.目的:分光光度計とマイクロピペットの使用法を習得する。o-NPの420nmにおけ
    ε値を算出する。
    2.試薬
    ・o-NP(o-nitrophenol)
    ・アルカリ溶液(0.6M Tris-HCl、pH10)
    3.方法
    ①試験管中に1mMのo-NP溶液をマイクロピペットで50、100、150、200μLずつとり、水で全量1.0mlにした。これを各2点ずつ用意した。
    ②そこにアルカリ溶液を各1mLずつ加え発色させた。
    ③420nmの吸光度を測定した。
    ④グラフ用紙にプロットし、直線の傾きよりε値を求めた。
    4.結果
    濃度(μM) 吸光度(一回目) 吸光度(二回目) 50 0.071 0.076 100 0.116 0.118 150 0.173 0.173 200 0.228 0.225
    ε=A/C(M)
    =(0.227-0.014)/(200-0)(μM)×10⁻⁶
     =1065   ∴ε=1065
    5.考察
    ・今回の測定ではアルカリ溶液を加えたことにより、容量が増えo-NPの濃度が1/2倍になったが、私たちの班では1/2倍せずに計算した。なぜなら、1/2倍することでεの値が2倍となり、のちに生成物として再び現れるo-NPの濃度も1/2倍となっていると考えられるため、A=εclを変形した、c=A/εより、1/2c=A/2εとなるので、ここでは考慮しなくてもよいからである。
    [2]酵素の反応速度論
    1.目的:分光学的に容易に酵素反応を追跡できる酵素と基質の組み合わせを用いて、Km
    値の算出をはじめとする基本的な酵素反応の速度的解析を行う。
    2.試薬
    ・緩衝液(50m...

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