会社法は、各株式の権利の内容は同一であることを原則としつつ、その例外として、一定の範囲と条件のもとで、①すべての株式の内容として特別なものを定めることと(一〇七条)、②権利の内容の異なる複数の種類の株式を発行することを認めている[種類株式制度](一〇八条)。会社法がこれらの株式の発行を認める趣旨は、一定の範囲と条件のもとで株式の多様化を認めることにより、株式による資金調達の多様化と支配関係の多様化の機会を株式会社に与えるためである。
種類株式として認められるものとしては、①剰余金の分配、②残余財産の分配、③株主総会において議決権を行使することができる事項(議決権制限株式)、④譲渡による当該株式の取得について会社の承認を要すること(譲渡制限株式)、⑤当該種類の株式について、株主が会社に対してその取得を請求できること(取得請求権付株式)、⑥当該種類の株式について、会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得できること(取得条項付株式)、⑦当該種類の株式について会社が株主総会決議によってその全部を取得すること(全部取得条項付種類株式)、⑧株主総会において決議すべき事項のうち、当該...