人間の言語に共通する特徴のうち、恣意性・生産性について説明しなさい。
言語記号は、私たちが日常的に「語」とか「単語」ということばであらわしているものにおおむね相当する。ソシュールは、言語記号のシニフィアン(能記、記号表現)とシニフィエ(所記、記号内容)という独自の用語を導入し、記号はこの2つが結びついたものであると規定した。ここでシニフィアンとシニフィエは、それぞれを「語の音形」と「語の意味」を言い換えたものとみなして通常はさしつかえない。つまり、親しみやすい言い方であらわすなら、語は音形と意味とが組になって成立してといえるのである。シニフィアンとシニフィエは、紙の表と裏のような関係にある。すなわち表しかない紙とか裏しかない紙がありえないのと同様に、シニフィアンしかない言語記号とか、シニフィエしかない言語記号というものはなく、言語記号は必ず2つの面を兼ね備えていなければならないとされる。その意味で、言語記号が記号である限りにおいて、この2つは切り離せない。
しかしソシュールは、言語記号におけるシニフィアンとシニフィエの結びつきは恣意的であると指摘する 。
1 恣意性
恣意性は人間言語に...