設 題 「市場の欠陥」と「政府の欠陥」をふまえ、社会福祉「市場化」の問題点と市民本位の社会福祉の課題をまとめなさい。
⇒現代社会が直面する課題として「市場の欠陥」と「政府の欠陥」として取り上げる議論が90年代以降、活発である。「市場の欠陥」は資本主義の矛盾そのものであり、「政府の欠陥」は現代国家の欠陥である。
まず「市場の欠陥」とは、市場主義における市場経済の発展が及ぼす社会的矛盾を指摘するものである。市場とは日常生活において身近なものであり、使い慣れている言葉である。市場は、商品である、財・サービスに価格がつけられ、販売者と消費者が対等な立場で貨幣を媒介にして、それを交換するメカニズムである。そこでは自動調整メカニズムが働き、商品の価格が調整さる。利潤の低い所から高い所に資本や労働力が移動し、資源の合理的配分がなされると考えられている。
次に「政府の欠陥」であるが、これは資本主義に限定された問題指摘ではない。市場原理がもたらす矛盾の拡大・深化は国家による社会的介入を避けられないものにする。社会の多数者の生活困難や都市問題の激化は、労働者の再生産を困難にして消費を萎縮させてしまい、資本...