社会福祉基礎構造改革の内容と、その方向性について
日本の社会福祉政策が本格的に始まったのは、第二次世界大戦後のことである。傷痍軍人や傷病者、生活困窮者の保護・救済を目的とし、戦後すぐに生活保護法・児童福祉法・身体障害者福祉法が制定された。その後、福祉の範囲は少しずつ広がり、同時に社会状況に応じての改正が行われてきた。「社会福祉基礎構造改革」は、これら改正の最たるものである。本稿では社会福祉基礎構造改革の内容と、その方向性について述べる。
1.社会福祉基礎構造改革の背景
戦後50年間、日本の福祉政策は措置制度で行われてきた。福祉を必要とする人に対して行政庁が支援の中身を決定し、提供するという制度である。しかし、バブル期以降の経済の低迷や少子高齢化により財源確保が困難になったこと、家庭の子育て・介護の機能が脆弱化したこと、ニーズの多様化により、個々に応じた対応が迫られたことを背景に、利用者自身が支援(サービス)を選択・決定する制度への転換が求められるようになった。同時にそのサービスには、利用者の自己実現を可能にする質の高さと地域密着性が求められた。社会福祉基礎構造改革はこの三点、つまり①措置制度から自己決定へ ②質の高い福祉サービス...