上代、中古、中世、近世の文学の特質を、それぞれの時代の特性をふまえつつ、下記の諸作品を例にして具体的に説明せよ。〈古事記・万葉集・古今集・女流日記(女性によって書かれた日記)・源氏物語・平家物語・徒然草・近世小説〉
『上代、中古、中世、近世の文学の特質を、それぞれの時代の特性をふまえつつ、下記の諸作品を例にして具体的に説明せよ。〈古事記・万葉集・古今集・女流日記(女性によって書かれた日記)・源氏物語・平家物語・徒然草・近世小説〉』
上代、大和朝廷は大陸の随朝や唐朝から学び、政権を強力な中央集権国家へ発展させた。上代とは大和(奈良県)を中心にした国土統一から、桓武天皇による平安京遷都までをさす。この頃、日本は国家体制のみならず、漢字や仏教といった文化面でも大いに影響を受けた。漢字によって国語表記が自由になり、それまで口誦歌謡や語りに頼ってきた文化的所産の伝達・保存を、文字による記載文学へと大きく変化させた。創作が集団的なものから個人に可能なものとなったのである。
そうした中で、和銅五年(七一二)に成立したのが、『古事記』である。語り部である稗田阿礼が『帝紀』や『本辞』を語り、太安万侶が筆録して完成した。漢字の音訓を交ぜた変体漢文等で書かれている。聖徳太子や蘇我馬子が記したとされる『天皇記』『国記』が現存しない今、『古事記』が日本最古の書とされる。上中下の三巻で成り、天地開闢以来の神話から、推古天皇ま...