時代劇からみる日本史~ドラマと現実の相違点~
1. 日本古来の歩行法「なんば歩き」
当たり前の事だが、私たちは左右の手と足が交互になるように歩く。よく冗談で緊張して右手と右足が一緒に出ているなどと表現するが、実際にそのような姿で歩くことはまずないだろう。もちろん時代劇の中でも出演者たちはみんな私たちと同じように左右の手足が交互になるように歩く。しかし、この当たり前の光景がすでに当時の様子とは異なっているのだ。
実は、今のような歩き方が広まったのは幕末から明治かけて西洋式の歩行方が入ってきてからなのだ。それまで日本人は手足を交互にではなく、同時に出して歩いていた。つまり、今の私たちとは違い、腕を振らず体をねじらない歩き方をしていたのだ。このような歩き方が為されていた理由として、
・昔は着物で生活していたため着崩さないようにするため。
・武士が抜刀した際に、手(腕)を傷つけないようにするため。
などが考えられる。この日本古来の歩き方は「なんば歩き」と呼ばれる。生活に密着している歩行法という基本的な事がすでに違うなどと思いもしなかっただろう。時代劇の中で再現されな...