平成20年 国際私法
設問1
1.成年後見人の遺言能力の準拠法
(1)遺言能力の法的性質
法律行為である遺言を有効に行うことができる資格
通則法4条(人の行為能力)の問題か?
通則法5条(成年被後見人の後見開始の審判)の効力の問題か?
●通説
身分的行為能力は身分行為そのものと切り離して取り扱うべきではない
遺言能力は遺言の成立(通則法37条1項)の問題
→Aの本国法による
(2)37条「成立の当時」
遺言の成立当時は意思表示のとき
(3)あてはめ
反致なし
準拠法は甲国法→遺言能力あり
(4)公序違反なし
この結論は日本の公序(通則法42条)に反しない
2.遺言の方式の有効性
(1)遺言の方式の準拠法に関する法律(方法法)
(2)2条各号
いずれかの法の定める要件に合致していれば有効
1号行為地法
2号遺言成立時または死亡時の国籍国法
4号遺言成立時または死亡時の常居所地法
日本法でも甲国法でもOK
(3)方法法5条
被後見人の遺言についての証人の立会い
被後見人が遺言能力を回復しているときに遺言がなされた時の証明方法も方式の問題
(4)あてはめ
日本法(民法973①)→2人以上の医...