平成21年刑事法第1問
1.Aのキャッシュカードと通帳を持ち出した行為 ★Aに対する業務上横領罪
(1)業務上占有
Aと甲は上下関係→甲はただの占有補助者か?
Aは通帳に目を通す程度、甲は自己の判断でカードと通帳管理・利用しうる→業務上占有していた
(2)不法領得の意思
取引先でないB社への振込みを指示→不法領得の意思の発現と認められる外部的行為
(3)被害法益の実質的同一性
Aのキャッシュカードと通帳を客体とする横領
預金の振込みなどの行為
↓
現実の被害は振込み等の行為によって生じている
Aのカードと通帳の処分の点は振り込み等の行為に包括して評価
2.B社口座へ80万振り込んだ行為 ★Aの預金を客体とする業務上横領罪
(1)占有
○預金→債権にすぎず財物ではない→横領罪成立せず→背任罪の問題
◎預金→法律上の支配といえる場合→横領罪成立
★判例通説★
処分可能性がある限り、預金について法律上の支配を認める
・甲は資金管理も任されていた
・通帳、印鑑、カードは事務所内の金庫に保管し、禁固のカギは甲が所持
・預金の出し入れは甲が指示して部下に行わせていた
(2)権限逸脱
遊興費として...