近年、できる限り住み慣れた地域において生活したいという考えが大半を占めるようになり、社会福祉政策も「施設」から「在宅」、「地域福祉」へと移行が進められてきた。どのような社会背景で地域福祉が重要視されるようになったのであろうか。
地域福祉の発展はイギリスにその源流をみることが出来る。産業革命によって社会構造が大きく変化し、貧困労働者の増加が社会問題化した。そこで1819年に貧困者の状態を把握し救済するといった隣友活動が始まり、1869年には慈善組織協会(COS)の設立として発展していった。
一方、わが国の地域福祉の歴史については戦前にまで遡ることができる。海外からの引揚者・戦災者・戦争未亡人・浮...