日本国憲法は「何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、叉はその他の刑罰を科せられない」(三十一条)と定めている。この憲法第三十一条の「法定手続きの保障」では、人間にとって基本的な自由である人身の自由が主張されている。様々な自由がある中で、人身に関わる自由は最も重要で、かつ基本的な自由であるといわれる。この自由とは、恣意的に逮捕されたり、拘禁されたりせず、自由な生活をすることができる人間の状態を指す。自由主義的、個人主義的国家において、このような人身の自由の尊重と保障は不可欠なものである。
日本国憲法第三十一条は、三十二条から四十条で定められている人身の自由の具体的保障の総則について述べているだけでなく、すべての権利の手続き的保障についても触れているのである。通説によると、アメリカの合衆国憲法修正五条に由来するデュー・プロセス条項の意味を基調としつつ、罪刑法定主義の原則も定めると理解されている。
「法律の定める手続き」の意味だが、三十一条は様々なとらえ方をされており、ここで述べられている「法律」というのは、国会の議決によって制定された法形式を意味する...