(2010年度配本)
1,道徳の意義とその教育の必要性について論述せよ。
2,明治以降のわが国の道徳教育の変遷について調べよ。
(1) 人間が真に人間らしい人間になるためには、教育が必要である。人間としてのわれわれは好むと好まざるとに関わらず人の間で生きてゆかなければならない。そのことは人間存在にとって宿命と言える。もちろん、人と生きてゆくことに疲れ、人と隔絶した世界に逃げたくなることもあるだろう。しかし、その生活も孤独感に耐えが痛い苦痛や不安を感じ、人間社会への復帰を望むようになる。このことから人が社会的存在であることが人間にとって必要であることが分かる。
人との関係を好ましいものとして保ってゆくために、社会規範が必要になってくる。人間はいかに生きるべきかという課題は人を必然的に行動の規範を求める世界、すなわち道徳の世界へ導入するのである。したがって、どのように生きるべきかを教える教育というのは本来的に道徳教育であるといえる。
道徳教育の必要性について考察する時2つの視点を設定することが有効である。1つ目の視点は道徳教育の本来的必要性である。動物の多くは生まれた瞬間から自己保存の営みができるようになっており、それは本能であるといえる。そういった意味の本能の多くをヒトは持って生まれてこない。周囲の人間の...