精神保健学
1、職場における精神保健の必要性
社会生活を営む上で、ストレスから完全に解き放たれることはない。家庭内、学校、職場などあらゆるところにストレスの原因となるもの(ストレッサー)があり、私たちはストレスと付き合いながら生活しなければならない。ストレスは本人の「心の持ちよう」などということだけでは片付けられず、社会的なストレス対策が必要である。
心身ともに健康に生きることは誰もがもつ願いであり、労働者にとって一日の大半を過ごす場所である職場でも、メンタルヘルス対策が求められている。経済生活の基盤を作る職場で、いきいきと働けるようにすることが、労働者とその家族のメンタルヘルスにつながることになる。
また、労働者のメンタルヘルス対策を行うことは、企業にも好影響をもたらす。ストレスは作業の能率低下を招く。また体調にも影響し、欠勤や遅刻、早退など勤務にも支障をきたすようになる。決まった日時に出勤し能率よく働いてもらえれば、企業にとっても利益になる、という考え方に立てば、メンタルヘルス対策は企業にとっても必要だと考えることができる。
2、職場における精神保健の現状
1972年、労働安全衛生法が制定され...