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芥川龍之介の文学活動に関して、「小説の筋」論争と「私小説」の観点で概略していく。
まず、「小説の筋」論争について述べていく。昭和二年(一九二七)初、芥川龍之介はその生涯の最後の年に、小説観をめぐって、谷崎潤一郎との間に論争を交わしたが、七月二四日、芥川の死により、論争は永久に中断されたものである。
具体的には、次の通りである。
芥川は、谷崎の「構造的美観」に対して、「話らしい話のない小説」を主張する。ただし、「僕は話らしい話のない小説を最上のものとは思っていない。」「若し厳密に云うとすれば、全然話のない所には如何なる小説も成り立たないであろう。従って僕は話のある小説にも勿論尊敬を表するものである。」と、小説の価値判断の基準をプロットに置くことを否定する。そして、「話らしい話のない小説は勿論唯身辺雑事を描いただけの小説ではない。それはあらゆる小説中、最も詩に近い小説である。僕は三度繰り返せば、この話のない小説を最上のものとは思っていない。が、若し純粋と云う点から見れば、―通俗的興味のないと云う点から見れば、最も純粋な小説である。(「一『話』らしい話のない小説」)と、一種の純粋小...