日米大企業の取締役制度を比較し、それぞれの特徴、長所、欠点、改革の現状について明らかにせよ。
1.日本とアメリカの取締役制度の基本的な比較
アメリカと日本の制度は、大きく異なる。それは、株主と経営者の関係、取締役会の役割の2点についてだ。日本では、株主総会により選ばれた取締役から、経営を実行する代表取締役が選ばれるが、アメリカでは、代表取締役は取締役から選ばなくてもよい。また、CEO(最高責任者)は取締役のなかの指名委員会が任命する。
アメリカには、日本にある監査役がなく、取締役だけでCEOを監視する。
したがって、業務執行機関と監督機関が一体化していた。
日本の監査役会制度は、元々、戦前にドイツ商法から導入した制度である。
最近はアメリカでも、取締役は実際の経営業務をせず、オフィサーと呼ばれる業務執行役員が行う。取締役会の任務は、経営の担当者の人事、基本的な経営方針の決定と承認など株主に代わって経営を監視することになった。
日本企業では、取締役の大部分は、「取締役××支店長」など、営業・開発・生産など専門の業務を担当するのが一般的であり、取締役の人数も30~50人などと多かった。それに比べ、アメリカの取締役は10数人である。
2. 最近の米国の改革について
2002年7月に企...