一般的不法行為の要件と効果について述べよ。
はじめに不法行為とは、人を殴って怪我をさせたり、車の運転を誤って人家を壊したりするように、「故意または過失によって違法に他人に損害を加える行為」をいう。わが国では、民法第709条により「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められている。
人はそれぞれに自由に生活する自由をもつが、その自由も、他人の生活領域をみだりに侵害しない範囲という留保つきである。法律は、人間の自由な活動によって不法行為が生じないように未然防止の手段を講じてはいるが、他人の権利・利益とぶつかり合う事態によってやむを得ず被害が生じることもあるため、民法上不法行為制度を設けた。
このように、不法行為とは、他人に違法な損害を加えた者に、その損害の結果生じた損害を賠償させる義務を課す制度であるから、その主たる目的は、損害の填補にあることがわかる。この点で、制裁を目的とする刑事責任とは区別され、民事責任と呼ばれる。
次に、一般的不法行為の成立要件について述べる。成立要件については、以下の...