臨床心理学における人間理解の必要性および面接場面における留意点について述べよ。
初めに、臨床心理学とは何かについて述べる。臨床心理学とは、近年の社会機構の複雑化と急速な変化にともなって、さまざまな不適応状態に陥る人々が多くなり、それらの不適応状態に陥る原因、心の状態を分析する文学である。しかし、臨床心理学という学問領域もまだ新しく、十分な体系化がなされているわけではなく、概括的定義は困難である。
今日では臨床心理学とは、「個人、または集団に生じた困難な問題を心理的知識と技術とによって解決する操作を心理的臨床活動と呼び、心理学的臨床活動における理論・技術の向上を目的とする心理学である。心理学的診断も、カウンセリングもガイダンスも、あるいは精神療法もすべて、これらは心理学的臨床活動の一部である。したがって、臨床心理学はこれらのための基礎学である」、となろう。
次に臨床心理学における援助の対象についてであるが、取り扱うべき対象は「より良い適応にもたらされるべき個人」である。これは、たんなる「不適応者」というネガティブなとらえ方だけではなく、より良い適応、ないしはより高次の人間理解...