実験の目的:繊維のねじれに対する剛性率を測定し,それがどういうものか理解する.
試料:繊維(ステンレス,銅,真鍮,ナイロン)
実験に用いた繊維の剛性率は,文献値でも測定値でもステンレス,銅,真鍮,ナイロンの順に大きかった (図1,2).またその他に,この順に周期が短いことが分かった.
この理由として,繊維の硬さが関係していると考えられる.同じ力を加えた場合,硬いバネと軟らかいバネでは硬いバネの方が振動数が大きくなるように,硬い繊維のほうが軟らかい繊維よりも振動数は大きくなる.周期は振動数の逆数で表されるので,振動数が大きいほど周期は短くなる.剛性率GはG = 32/3 πLMl2D-4T-2 で表され,周期の影響を受けやすく,周期が短いものほど剛性率は大きくなる.よって,繊維の剛性率はその硬さに依るものと思われる.
さらに,各繊維で剛性率の測定値と文献値を比較すると,全てにおいて測定値よりも文献値のほうが大きかった(図1).これは測定の場合,空気(風など)の影響により,周期が長くなったためだと考えられる.
繊維のねじれ剛性率(ずれ弾性率)
1.目的
繊維のねじれに対する剛性率を測定し,それがどういうものか理解する.
2.方法
2.1〈試料〉繊維(ステンレス,銅,真鍮,ナイロン)
2.2〈手順〉①電子上皿天びんでおもりの質量Mを測定するとともに,長さlを測った.
②試料の繊維の直径Dをマイクロメーターで測定した.
③繊維をクランプに結び,他端はおもりの中央に結びつけた.
④クランプとおもり間の繊維の長さLをものさしで測定した.
⑤おもりを数回回転させて繊維をよじり放置した.
⑥数周期の時間tを測定し,周期を求めた.3回くり返し,周期の誤差が1秒以内であることを確認した.
⑦ねじれ剛性率を計算した.
3.結果
結果は以下のようになった.繊維の直径Dは3回測定し平均をとった.また,数周期の時間tも3回測定し,周期の誤差が1秒以内であることを確認して平均をとった.
表1 測定結果
試料 D(m) L(m) l(m) M(kg) t(s) 測定した
周期数 ス...