文化環境論ーペルーのインカ帝国

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    アンデス山脈のちょうど真ん中あたり、国で言えばペルーからボリビアにかけての中央アンデスはこの山脈のなかでもっとも高く、幅も広い。中央アンデスでは平均500キロメートルくらいの幅を持ち、また平均標高も4000メートルを越す。そこには、船が通う湖として世界一高いことで知られるティティカカ湖もある。そここそが古代アンデス文明の成立、発展の舞台になったところである。山脈地帯では、紀元前1000年ころに現ペルーの中部高地で大神殿もつチャビン文化がおこった。また、大部分が砂漠となっている海岸地帯でも、アンデスから流れて落ちてきた河川の流域のオアシス地帯で古くから農耕が開始され、それをもとに諸文化が生まれ、そして盛衰が繰り返された。これらの諸文化の遺産を集大成し、アンデス地域の大部分を統合したのがインカ帝国であった。インカ帝国は、北は現コロンビアから南はチリ中部までの南北5000キロメートルに及ぶ地域を版図としていた。そして、最盛期には1000万とも2000万とも言われる大人口を擁した、それだけの大人口の多くが標高3000メートル以上の高地で暮らし、しかも大帝国を築いたのは世界史的にみてもきわめて異...

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