「β値比較」
このレポートでは、様々な業種のβ値を算出することで、β値にどの程度の差がみられるのか、なぜそのような違いが生まれるのかなどについて記述する。データの収集方法としては、業種の中からランダムで1社を選択し、Yahoo Financeのデータをもとに2008年7月7日から2009年7月7日の間における計23社のβ値を調べた。それを表にしたものが図1である。
図1 各社のβ値
(1)投資判断にβ値を用いる際は注意が必要である
β値が最も大きい企業はANAで、その数値は約0.05である。逆に最も大きな企業は商船三井で、約1.957という結果になった。投資家にとってこの差はかなり大きい。仮に、市場が30%下落する局面において1000万円を商船三井に投資するならば、株価は1.957×30=58.71%(下落)となり、損失が5,871,000円も出てしまうが、ANAならば、0.05×30=1.5%(下落)となり、損失は150,000円で済むことになる。逆に30%上昇する局面ならば、商船三井は5,871,000円の利益となり、ANAは150,000円のみの利益となる。要するに、β値の高...