ハンチントンの「文明の衝突」を再読してみると、なるほど彼の指摘は見事に的得ていると改めて感じる。冷戦が終結し、今後は自由主義か共産主義かのイデオロギーや経済上の対立が国家間の戦争の原因になるのではなく、文明間の差異によって戦争が起きることの可能性が高まっていると彼は言う。そのため、文明上のラインが今後の紛争ラインと同義なものであるとも言う。ここでいう文明の対立の構図は大きく分けてしまえば、二つに分かれる。西欧文明と非西欧文明の二つだ。西欧文明とはヨーロッパを中心に北米の国家が作り上げるものであり、非西欧文明は細かく再分化していくことが可能である多種多様なものである。現在においてこの論文が見直される理由は、論文中に指摘されている暴力のラインがイスラム文明とのラインであるという点であると考えられる。9・11テロ以降はイスラム圏に対する攻撃が止むことはなく、世界の注目を集める一方である。ハンチントンの指摘はズバリ的中したことになる。ただ一つ暴力のラインという事に関して言えば、国際的テロ集団の活躍により従来の国家対国家の戦争(つまりはラインがはっきりしている、対象型の戦争)から、いつ何時何処で起きるか分からないテロの多発とテロリストとの戦争(非対象型)により、ラインという位置づけも突発的に起きる点での暴力の要素を付け足してもいいのかもしれない。どちらにせよ世界は西欧文明であるアメリカとその協力国とイスラム文明圏との対立が続いているのだから、この論文が注目されるのは至極当然であり、我々が熟読するに値するものである。
世界の記憶に残る主要な戦争の多くは、政治力を西欧の君主が乱用したために起こったものから、その力が革命により市民の手に渡り、民衆の戦争に変化していった過程で行われてきたものがほとんどである。
「文明の衝突」と「孤独な超大国」に関するレポート
ハンチントンの「文明の衝突」を再読してみると、なるほど彼の指摘は見事に的得ていると改めて感じる。冷戦が終結し、今後は自由主義か共産主義かのイデオロギーや経済上の対立が国家間の戦争の原因になるのではなく、文明間の差異によって戦争が起きることの可能性が高まっていると彼は言う。そのため、文明上のラインが今後の紛争ラインと同義なものであるとも言う。ここでいう文明の対立の構図は大きく分けてしまえば、二つに分かれる。西欧文明と非西欧文明の二つだ。西欧文明とはヨーロッパを中心に北米の国家が作り上げるものであり、非西欧文明は細かく再分化していくことが可能である多種多様なものである。現在においてこの論文が見直される理由は、論文中に指摘されている暴力のラインがイスラム文明とのラインであるという点であると考えられる。9・11テロ以降はイスラム圏に対する攻撃が止むことはなく、世界の注目を集める一方である。ハンチントンの指摘はズバリ的中したことになる。ただ一つ暴力のラインという事に関して言えば、国際的テロ集団の活躍により従来の国家対国家の戦争(つまりはライ...