要約
Weinerら(1972)の原因帰属2次元モデルを仮定して、図形−置換課題の成功・失敗に関する原因帰属と期待評定への影響を検討した。成功・失敗による有意差はほとんど出ず、Weinerの仮説を支持しない結果が出たが、期待評定に関しては有意差が見られた。
問題と目的
人は自分や他者の行動や身の回りの現象に対して、「なぜそのようなことが起こったのか?」と原因を推測することで行動や現象の解釈をはかるという認知行動を取る。これを「帰属過程」と呼び、ある要因を行動や現象の原因だと結論する事を「原因帰属」と呼ぶ。
帰属過程に関する理論や認知モデルは多数存在するが、本実験では特にWeinerら(1972)の提唱した2次元分類モデルを取り上げ、a)課題達成の成功・失敗とb)原因帰属および、c)類似課題に対する期待との関係について考察する。
Weinerら(1972)によれば、人がある課題に成功や失敗した時の原因帰属を、安定性と統制の所在によって、能力・努力・課題の難易度・運の4つに分類した(表1)。統制の所在とは、成功や失敗の原因が自分にあるか(内的)、或は環境や他者など自分以外の要素か(外的)を表している。Weinerら(1972)によると、これらの原因帰属は更に別の認知活動に影響を与える。安定性は将来における類似課題で得られる成果に対する期待に影響する。安定要因に帰属するほど、類似課題に対する期待は既に終えた課題の成績と類似したものになる。一方不安定要因に帰属するほど、類似課題への期待や予想を決定するのは困難になる。また、統制の所在は自己評価に関する感情に影響を与える。統制の所在を内的要因に帰属するほど、課題の成績に応じて誇りや恥などの感情が大きく変化する。一方外的要因に帰属するほど、成績がどうであれ感情はあまり変化しない。
図形-置換課題における
成功・失敗が原因帰属及び
期待評定に与える影響
心理学専修課程 学生証番号XXXXXX
XXXX
XXXX年XX月XX日提出
要約
Weinerら(1972)の原因帰属2次元モデルを仮定して、図形-置換課題の成功・失敗に関する原因帰属と期待評定への影響を検討した。成功・失敗による有意差はほとんど出ず、Weinerの仮説を支持しない結果が出たが、期待評定に関しては有意差が見られた。
問題と目的
人は自分や他者の行動や身の回りの現象に対して、「なぜそのようなことが起こったのか?」と原因を推測することで行動や現象の解釈をはかるという認知行動を取る。これを「帰属過程」と呼び、ある要因を行動や現象の原因だと結論する事を「原因帰属」と呼ぶ。
帰属過程に関する理論や認知モデルは多数存在するが、本実験では特にWeinerら(1972)の提唱した2次元分類モデルを取り上げ、a)課題達成の成功・失敗とb)原因帰属および、c)類似課題に対する期待との関係について考察する。
Weinerら(1972)によれば、人がある課題に成功や失敗した時の原因帰属を、安定性と統制の所在によって、能力...