郵政民営化を行うことによってどのような問題が生じるのだろうか。まず一番の問題として民営化によって日本郵政公社が市場の原理に介入することだ。なぜなら、今までは国の保護を受けてきたため、たとえ売上が赤字になろうとも経営をし続けることができたが、民営化によって国の保護がなくなり自己責任が発生し市場に自然淘汰されてしまう可能性も生じてくるからである
だから、日本郵政公社は今までの調子で経営し続けるのであれば、他企業(例えば、ヤマト運輸)が郵便事業に参入してきたときに競争に負けてしまうおそれがある。どうして日本人の貯金の多くが郵貯に預けられているのだろうか。その答えとしては、他の銀行とは違って「絶対につぶれない」という安心感が人々にはあったからだ。そこで次の問題として私が考えたのは、個人の郵貯離れである。郵政民営化によって郵便局は民営化するため、他の銀行と同じくつぶれる可能性がでてくる。そのため、人々はこれから郵便局にお金を預けておくインセンティブがなくなってしまうのである。
まず、日本郵政公社の歴史的発展について述べたいと思う。郵便事業というのは明治四年に前島密によって創設された。彼は明治三年に駅逓権正兼任となり、郵便事業開始を発案する。この年渡英し、郵便事業を学び翌年には郵便制度をスタートし郵政事業の基礎を成した。最初は東京―大阪間での郵便に限られていたが、徐々に日本全国に広がり郵便事業が拡大し今に至るのである。そして、小泉純一郎が首相となり、「郵政民営化」を掲げたことにより、郵便事業は大きな変貌を遂げた。今までは、国の保護を受ける形で行ってきた郵便・郵便貯金・簡易保険といった業務が、これからは民営化つまり普通の一般企業と同じ土台に立って経営していかなければなら...