公的扶助の一つである生活保護制度について概要をまとめその意義と課題について述べた。(約5700文字)
生活保護制度について
はじめに
公的扶助制度である生活保護制度について、制度の原則と内容についてまとめ、最後に課題について展望する。
生活保護制度とは
憲法第25条は「全ての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定め、国民の生存権を保障した。生活保護制度はその生存権を具現化する制度であり、生活保護法により規定される様々な事情により困窮に陥った国民を救済し生活を保障する最後の砦ともいうべきセーフティネット・システムである。公的扶助の仕組みによって行われる。生活保護法第1条では「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」と規定し、憲法第25条の理念を根拠とし、国家が責任を持ち生活保護制度を運営することを定め、同時に最低生活の保障と自立助長の二つを目的として謳っている。
社会保障制度は国家が国民の生活を保障する制度のことである。貧困者の生活を守る救貧制度と、労働者などが貧困に陥ることを防ぐ防貧制度の二つ...