ペスタロッチーの教育学(直感の原理など)について考察せよ。
ペスタロッチーは教育の理想を、人間の諸力の調和であるとした。「教育は個人に異質なものを押し付けるのではなく、彼のうちにまどろみ、あるいは埋もれているものを引き出すのである。」(1)そのため人間の能力、心情と精神、身体を、それぞれに適した法則に則って使用することで自然的に発展させることができると考えた。この作用を知的陶治、身体的陶治、道徳的陶治と名づけた。
知的陶治においては思惟の出発点、人間が認識する能力の基礎となる、「直観」が重視される。この「直感」とは、ひらめきということではなく、観ることによって理解するという意味である。ペスタロッチーによると直感は、すべての五感による対象の把握(外的直感)と、自己自身や世界を認識する能力(内的直感)とがある。「すべての外的経験に先行し、かつそれに結びつけられる、生まれながらの経験なのである。」(2)しかし、直感は技術に高められなければならないとしている。直感によって受け取ったものは曖昧であり、それを明瞭な概念にすることが求められる。「直感の技術によって子どもは一定の対象の感覚的な印象...