第2課題 第1設題
この作品は一人のこまっしゃくれた子供が自分とはまるで生活感覚の違った一人の少年と出会いしだいに彼を受け入れていくという、どこか懐かしくて新しい「山田詠美文学」の魅力を十分に織り込んだ作品である。
作者は幼い頃、父親の転勤で何度も転校を繰り返しているが、この作品は作者自身が「子供心にたくさんの印象を刻んだ」と言っている、静岡県磐田市に住んでいた時の作者の心境を大人になってから描いたものである。
この作品の中の主人公は九歳の子供である。子供でありながら自分を小さな大人として自負し、その責任を全うすべく常に努力しているのである。周りの人間を細かく分析し、上手に世間を渡っていく...