前回のレポートでも述べたように、現代の情報化社会、生涯学習時代における図書館の役割は重要である。ここでは、高齢化社会である現在、すべての地域住民に分け隔てなく図書館サービスを提供するには、今後、日本の公共図書館運営をどうすればいいのか考えていきたい。
公共図書館は、すべての住民が必要な知識と情報を容易に入手するための地域の情報センターであり、バリアフリーの状況の下ですべての住民に情報センターとしての機能を果たさなくてはならない。(注1)しかしながら、本当にすべての公共図書館がすべての利用者に平等であるか疑問を感じる。日本は高齢社会になり、図書館でも、高齢者の学習要求や情報要求の特殊性、視力の衰えなどに伴う「読む」ことに関わる制約に配慮したサービスが論議されはじめたのは1980年代後半以降である。1986年の『みんなの図書館』では、公共図書館を利用する高齢者を次のように認識している。①本や読書という行為に敬意を持っている。②学習意欲、自己表現欲がある。③自分の職業について自負しており、職業に関連する事柄について関心がある。④趣味が生活の中の主要な楽しみである。⑤地域との関わりを持ち、世...