(2011年度の新しいレポート提出ルールに対応しています)
黒田恭史教授 テキスト『総合学習に生きる数学教育(中学校数学科・新しい授業づくり8)』明治図書出版
第1設題
日本の数学教育史、数学教育の目標・内容について、オーストラリアとの比較を通して論ぜよ。
出品者からのコメント
抽象的で何に的を絞って文章を展開したらよいのか迷う課題です。テキストの中からどこを切り取るかが決定的なポイントになり、抜粋の箇所(教授の関心の強い箇所)を間違えると評価に強く影響するでしょう。A評価をとったこの答案で、テキストの抜粋箇所さえ確認すれば、皆様独自の考えを展開させてもA評価はとれると確信しています。
日本の数学教育史、数学教育の目標・内容について、オーストラリアとの比較を通して論ぜよ。
1、日本の数学教育史とオーストラリアの取組みの比較
日本の数学教育は、数学の理論だけを教え込み、受験競争で生徒を煽って形式的な理論を真に理解させることなく、覚えることを強制して来た。その結果、日本の生徒の数学力は国際的に上位を占めるにも関わらず、文章問題に弱く問題解決能力に劣る傾向にある。
しかし、日本でもそのような数学教育の実状に全く批判がなかったわけではない。1920年代に小倉金之助が取り上げた「実用数学」「近似数学」、1930年代に佐藤良一郎が取り上げた「総合的取扱」、1940年代に行われた「単元学習」、いずれも1980年代から現代にかけて強まって来た「総合学習」の精神に通じるものであり、その背景には形式的な理論に偏った数学教育への批判がある。
形式的な理論に偏った数学教育が批判されるのは、数学が実生活に必要とされるにも関わらず、実生活への応用力が身に付けられないからである。しかし、日本の学校教育では数学は理論だけを教えればよいと主張する教師も多く、総合学習の取組みも必ずしも成功していない。
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