ドイツ人のまちづくりに対する考え方について、人文地理学の視点から考察したレポートです。
ドイツの観光都市における秩序ある都市開発を紹介したうえで、日本における都市開発と比較しました。
ドイツ人のまちづくりに対する考え方の根底には、「場所への愛着」がある点を指摘しています。
ドイツ人のまちづくりに対する考え方 -場所への愛着に基づくまちづくり-
都市はひとつの芸術作品。 ある日本人は、ドイツ人のまちづくりに対する考え方をこのように捉えた。『ドイツの景観都市 ~水と緑のまちづくり~ (飯田実著)』では、ドイツにおける都市景観や自然景観の美しさ、その美しさがどのようにつくられているのかについて示されている。
バイエルン州のある観光地では、高速道路の引き入れを拒否している。高速道路はこの観光地のすぐ手前のまちまで来ているが、そこで途切れている。観光客の増加による、自然破壊と住環境の悪化を懸念してのことである。また、ルール地方の都市では再開発計画が実行された。石炭鉄鋼産業で栄えたルール地方であったが、産業構造の変化により構造転換の必要性に迫られていた。そこで再開発を行うことになったのだが、この計画のテーマは、自然の再生・水系のエコロジー化・産業記念物の保存、再利用という内容であった。
これらの内容を日本の事情と比較すると、想像もできないような考えである。日本の観光地においては、自然環境への意識は二の次、三の次で高速道路を誘致しているところばかりだからだ。自...