(1)消えない国際紛争の火種
防衛白書は、地域紛争の性格は「民族上、宗教上、領土上などの固有な問題を背景として有するとともに、当事国・地域が置かれた安全保障環境も紛争の背景として存在するため」単純に捉えられず、「一国内の紛争であったも、人権問題や難民問題として、国際化する場合」もあり一様でないとしているが、アフリカの内戦、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争のごときはそれを妙実に表してしていたといえよう。
「戦争」とは、有名なクラウゼヴィッツの言葉を借りれば、「敵を強制してわれわれの意思を遂行するために用いられる暴力装置」だから、「この目的を確実に遂行するためには、敵の抵抗力を奪わなければならぬ」のである。そして、彼はこう言っている。
「博愛主義者は、次のように答えるかも知れない。敵に必要以上の損害を与えなくても、巧妙にこれを武装解除させたり、屈服させることができる。これこそ用兵の扇である」と。
彼の言葉に従えば、たとえばペルーにおける日本大使館人質事件のときの対応ぶりで明らかだったように、相手の抵抗力を奪う暴力行為を好まず「話し合いによる解決」を好むわが国の「政治家」や「進歩的文化人」は「博愛主義者」の範疇に入るだろう。
しかし、クラウゼヴィッツはこう続ける。「この説は一見いかにももっともらしく見えるが、それはやはり誤りであって、われわれはこのような誤りを粉砕しなければならぬ。というのは、戦争は実に危険な事業であって、このような危険な事業にあっては、お人よしから生まれる物ほど恐るべきものはないからである。
日本周辺の軍事情勢
消えない国際紛争の火種
防衛白書は、地域紛争の性格は「民族上、宗教上、領土上などの固有な問題を背景として有するとともに、当事国・地域が置かれた安全保障環境も紛争の背景として存在するため」単純に捉えられず、「一国内の紛争であったも、人権問題や難民問題として、国際化する場合」もあり一様でないとしているが、アフリカの内戦、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争のごときはそれを妙実に表してしていたといえよう。
「戦争」とは、有名なクラウゼヴィッツの言葉を借りれば、「敵を強制してわれわれの意思を遂行するために用いられる暴力装置」だから、「この目的を確実に遂行するためには、敵の抵抗力を奪わなければならぬ」のである。そして、彼はこう言っている。
「博愛主義者は、次のように答えるかも知れない。敵に必要以上の損害を与えなくても、巧妙にこれを武装解除させたり、屈服させることができる。これこそ用兵の扇である」と。
彼の言葉に従えば、たとえばペルーにおける日本大使館人質事件のときの対応ぶりで明らかだったように、相手の抵抗力を奪う暴力行為を好まず「話し合いによる解決」を好むわが国の「政治家」や...