本邦の社会の高齢化がさらに進んで行く中、例え認知症となっても社会との関係を維持し、その人らしく生き、また尊厳を保ち、安らかに暮らしていける社会の実現が強く望まれている。認知症のケアは医療と介護を中核とし、介護の現場が担う役割は大きい。
1980年代以前の「施設における身体介護」が認知症ケアの中核であった時代に比べ、現在では関連する医療・薬剤・福祉・介護のそれぞれが大きく進化してきている。とは言うものの、介護の現場で、あるいは家庭で認知症ケアに携わっている人たちが必ずしも充分な支援を受けられず孤立しがちになる状況は今も継続している。ケアの質には施設や事業所の間で格差があり、また医療との連携を含め...