学校行事について、明治期のいくつかの事例とその教育的価値に言及し、それが現行の学校行事にどの程度反映されているか、述べよ。
まず、最初に遠足については、どのように取り扱われていたか。教科活動に重点を置こうとしていた明治期の学校にあって、その教科の領域ともっとも関連が深かったのは、遠足である。普段は、子どもたちは修身や国語や地理、理科など、教室内で多くの知識の習得に努める。しかし、かれらの学習意欲を喚起するためには、どうしても教室外の実際の自然界や社会に応用してみる必要がある。その絶好の機会が遠足であったと言うわけである。明治30年代、計画的に実施した遠足の実例があるので、それを挙げる。そもそも、遠足の性格は明治10年前後の頃、近隣同士の小規模小学校の連合運動会に参加するときの往復徒歩といったものや歩兵操練の一環としての行軍のようなものであった。それが、先ほどの明治30年代には、こうした性格のほかに、身体の鍛練や集団規律の訓練をも意図するようになったのである。この意図・目的は一部それなりの教育的価値に値していたが、ただ子どもたちの自主性・自発性を育てるにはやや不十分であった。なお、中学...