障害者施策の背景と展開
「障害者基本法」と「障害者プラン」を中心に概観し,それらに関連するいくつかの事項についてもふれながら,日本における障害者施策が大きく変わろうとしていること,制度的にも3障害統合への道を歩み始めたことなどをまとめる。
国民の生活福祉は社会のあり方,時代背景,とくに経済情勢に影響を受けながらその内容が規定されてきた。国民の生活福祉は憲法第25条によって最低の生活が保障され,そのため国は社会保障制度を確立し,そのなかにおいて福祉施策を展開し,障害者福祉もそれらの一部として位置づけられてきた。
日本は戦後50年間続いてきた社会システムが古くなり,新たなる21世紀型システムへの転換・移行期に入っている。1996(平成8)年より政府は,財政,行政,経済,社会保障,教育,金融システムの『6つの改革』を推進し始めた。いわゆる構造改革が始まったのである。財政は緊縮時代となり,行政改革は小さな政府をめざし公務員の削減と機関の統合縮小,国立大学,関係諸機関の独立法人化,地方自治体への権限委譲(地方分権)などが進められている。
社会保障の基礎構造改革は少子・高齢社会を背景とし,...