考察
実験で用いたフィルタを受動フィルタと能動フィルタという点から考察してみる。
フィルタ?の実験で用いた定K型フィルタは抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動素子から構成されていたので、受動フィルタ呼ばれる。受動フィルタは、単に増幅素子(トランジスタ、オペアンプなど)を使用しないフィルタである。この点で、特定の伝達関数を(必要な素子数に関して)最も簡略に実現する。受動フィルタには他の利点もある。受動フィルタは能動素子を含んでいないので、電源が不要である。オペアンプによる帯域幅の制限を受けないので、非常に高い周波数でも正常に動作する。受動フィルタは、能動デバイスで処理できないような大きな電流や電圧レベルを伴う分野で使用できる。また、受動フィルタは、能動利得素子を使用した回路と比べてわずかな雑音しか発生しない。受動フィルタが発生する雑音は、単に抵抗素子からの熱雑音だけであり、注意深く設計すれば、この雑音の振幅も相当小さくできる。受動フィルタの欠点は、能動素子を使用しないので信号利得を与えることができないことである。非常に有用な受動フィルタを製造するには性能の良いインダクタが必要となるので高いコストがかかる。更に、複雑な受動フィルタは設計するのが難しく、時間がかかる。
実験結果
フィルタⅠ
1.(低域フィルタ)
実験に使用した素子の値をLCRメータで計測し、表1.1に示す。
表1.1 低域フィルタの各素子値
抵抗Ro[Ω] インダクタL/2[mH] 容量C[μF] 計算値 600 15 0.082 測定値 605 15.2 0.0847
オシロスコープ、電子電圧計で測定した各周波数における出力電圧、および波形の位相差を以下の表1.2に示す。また、入出力電圧比から以下の式を用いて減衰率を算出し、同様に表に示す。減衰率を図1.1、位相差を図1.2に示す。
(減衰率)= 20 log ( Vo / Vi ) 入力電圧=1[V](一定)
表1.2 低域フィルタの減衰率、位相差の測定結果
2.(高域フィルタ)
実験に使用した素子の値をLCRメータで計測し、表1.3に示す。
表1.3 高域フィルタの各素子値
抵抗Ro[Ω] インダクタL[mH] 容量2C[μF] 計算値 600 18 0.1 測定値 607 17.9 0.101
実験結果1と同様に測定した出力電圧、波形の位相差と測定値より求めた減衰率を表1.4に示す。減衰率を図1....