現在、我が国では高齢化社会を迎えているが、高齢者に多い疾患を考えるうえで生活習慣病を抜きにしては考えられない。
まず、何故これまでの“成人病”から“生活習慣病”と呼び方が変わったのかということについて述べると、我が国では長年にわたり、悪性新生物(がん)、脳血管障害、心臓疾患など、40歳以上の成人がかかりがちな病気を総称し、「成人病」とよんでいた。前記の3大成人病だけでなく、例えば高血圧症、慢性気管支炎、肺気腫、脂肪肝、肝硬変、糖尿病、変形性関節症、白内障、老人性難聴なども、この範疇に入る。
現在、我が国では高齢化社会を迎えているが、高齢者に多い疾患を考えるうえで生活習慣病を抜きにしては考えられない。
まず、何故これまでの“成人病”から“生活習慣病”と呼び方が変わったのかということについて述べると、我が国では長年にわたり、悪性新生物(がん)、脳血管障害、心臓疾患など、40歳以上の成人がかかりがちな病気を総称し、「成人病」とよんでいた。前記の3大成人病だけでなく、例えば高血圧症、慢性気管支炎、肺気腫、脂肪肝、肝硬変、糖尿病、変形性関節症、白内障、老人性難聴なども、この範疇に入る。なお、この言葉を最初に公的に用いたのは、1957(昭和32)年、当時の厚生大臣の諮問機関として設置された成人病予防対策連絡協議会においてであった。この成人病という呼び方は、じつは病理学的医学用語でもなんでもなく、このとき厚生省がつくった、加齢をひかえめに「成人」と表現した、いわば“行政的用語”であった。96(平成8年)12月、これら成人病の多くが、各個人の生活習慣との間に深い関係があることが明らかになってきていることから、公衆衛生審議会は「成人病」に「生活習慣病」という概念を導入し、より能動的な予...