絶対主義(絶対王政)といわれる近世ヨーロッパの国家と社会のあり方を、フランスを中心に検討せよ。
絶対主義とは、中世封建社会から近代資本主義社会への過渡期に出現する中央集権的国家形態であり、封建的な政治権力の分散状態を克服して君主が国家の統治権を独占的に掌握する点に最も特徴がある。ヨーロッパでは15世紀末から18世紀にかけてこのような主権国家が分立し、それぞれの利益を追求して対立・抗争を繰り返した。大航海時代の先駆となったポルトガルでは早くから王権の強化が進み、15世紀後半には中央集権国家がほぼ完成したが、スペインでは16世紀に強力な絶対主義国家が成立した。
絶対主義の典型とされるのはイギリス・フランスである。イギリスでは15世紀末のテューダー朝のヘンリー7世のもとで成立、16世紀後半のエリザベス1世の治下に最盛期を迎える。フランスではイタリア戦争(1494~1559)を間接的な原因として中世末以来の王権強化にはずみがついた。長期に及ぶ戦争の経験を通じ、フランソワ1世とその跡を継いだアンリ2世は、政策決定・執行の迅速化と、膨大な軍事支出に対応できる国家財政の基盤強化が必要だと痛感、少数の...