スウェーデンの社会保障について、わが国と比較して述べよ。
歴史的展開
スウェーデンでは、資本主義が芽生えるまでの間、今でいう社会保障はカトリック教会によるものが主流であった。救貧院や病院を教会が運営していた。1521年、スウェーデンがデンマークから独立をすると国王による宗教改革が行われ、1527年にスウェーデン国教会が創立され、1571年、「教会法」が作られた。これによれば、「教区内の貧困で孤立した老人は教会が施設に収容し、管理すること」と規定されている。後の1686年の教会法には「教区は、その貧窮民を救済する義務がある」と明記。さらに1698年にはその費用のための課税、寄付に関する規定を付け加えた。だが、当時の救貧院のアルムス・ハウスでは確かに老人の衣食住は保証されてはいたが、日常生活は拘束され、強制労働も課せられていた。救貧制度が初めて体系化され、1871年、「救貧法」が作られた。
1918年にスウェーデン国会はそれ以前の救貧条例に変わる「救民法」が成立した。この法律により強制適用の範囲は拡大されたが、対象者は年少者と労働不能者に限られるものだった。同時に全国一律の扶助基準が設定さ...