精神保健福祉士の理念と意義
高齢者や障害者に対して,保健,医療,福祉サービスの総合化の必要性が指摘されて久しいが,わが国の専門職の国家資格制度においては,保健医療領域と福祉領域の間に厳然とした境界線が引かれてきた。しかし,疾病と障害を併せもち,さまざまな生活上の困難をかかえる精神障害者に対して,精神科ソーシャルワーカーは必然的に保健医療と福祉の両領域にわたる相談援助活動を展開してきた。
1997(平成9)年12月12日,第141回臨時国会の最終日に参議院本会議において可決成立した精神保健福祉士法(法律第131号,平成9年12月19日)は,まさに保健医療と福祉にまたがる専門職として精神科ソーシャルワーカーの国家資格を定めたものであり,画期的な資格制度の登場ということができる。
A 精神保健福祉士の歴史
わが国に精神科ソーシャルワーカー(psychiatricsocial worker;PSW)がはじめて登場したのは,1948(昭和23)年のことであった。それからちょうど半世紀を経て,精神科ソーシャルワーカーの国家資格である精神保健福祉士法が施行されることになった。その経過を社団法人...