設題:法の下の平等について
人間平等という思想はギリシャ時代にそのルーツをもとめることができ、法の下の平等の語はもともとキリスト教神学理論における「神の前の平等」に由来している。近代憲法が西洋ヨーロッパの思想を元に発展してきたのであるから、それも当然のことといえよう。この「神の前の平等」とは、いかなる者も神の前では平等に祝福を受けることを意味している。富める者も貧しい者も、身分の違う者も、同じ信仰をもって神に接すれば、神は等しくわが子のように温情をかけてくれるのである。しかし、近代の憲法において自由と並んで保障されるに至るまでには長い年月が必要であった。我が国日本においては、明治維新以前には武士、農民、工業を営む者たち、商業を営む者たちの順番に階級が生まれていてそのあと四民平等とされるものの、実際には華族という特権階級が生まれており、男尊女卑の時代がしばらく続いてまた外国人との差別的な取り扱いも憲法に違反しないとされていた。そんな日本において平等権が当たり前のこととなった背景には、やはり日本国憲法の制定が非常に大きなウエイトを占めている。日本国憲法はいくつかの場所で平等を宣言し...