ペスタロッチーの教育学についての考察
1774年に貧民院(貧民学校)の設立を機に、教育活動に着手したペスタロッチーは、子どもは生まれならにして、必ず成長する能力(内的本性)を有しており、子どもの内的素質を重視し、自発的な成長をうながし、子どもが持ち合わせている内的本性の成長の援助を行う有機的・発生的教育法を理念にかかげ教育を行ってきた。特に忘れてはならないのが、「直観の原理」を教育方法の重要な柱としてきたことである。本稿では、ペスタロッチーの提唱する直観教授法の考え方を説明していき、彼の教育に対する考え方を考察する。
ペスタロッチーは、直観はすべての認識の基礎であり、教育方法も直観的でなくてはならないとしている。1774年に書かれた『育児日記』の中で、事物の概念と言葉とが結びつけられることを主張し、子どもには概念の形成に先立って生き生きとした体験を持たせるべきであることを主張している。すなわち、物事の道理や仕組みを自分の言葉で表現できるようにすることを主張しており、また、物事の道理や仕組みを理解するためには、体験を通して理解されるべきであるということを説いている。
この体験を通し...