2011年度佛教大学通信課程のレポートです。
「道徳教育の意義について」
参考:田中圭治郎編著『道徳教育の基礎』(佛教大学、2006年)
道徳教育の意義について述べよ。
はじめに
「道徳」とは、日本国語大辞典(小学館)によれば、「人間がそれに従って行為すべき正当な原理(道)と、その原理に従って行為できるように育成された人間の習慣(徳)」と規定されている。さらにそれが生まれた経緯を、「風習、習俗の中に現われるが、人間の批判的な自覚の高まりとともに、慣習や習俗を批判し反省しながら、慣習から分化した精神的規範や基準として現われ」たと説明している。道徳は、「精神的規範や基準」であるから法律により拘束されるものではないが、一方で、「道徳は社会規範」の一つであるため、それは社会一般化し、是認され、ある程度強制されるものでもある。このような道徳を子どもたちにどのように教えるかが道徳教育である。同辞典では「①道徳心を高め、行為を正しくするための教育。徳育」、また「②学校教育の一部として、社会の理想とする行為や生活態度を身につけさせる教育」と述べられている。つまり、道徳教育とは社会における支配的価値観にもとづいて、意識の中にそれを形成し、行動の様式や性格を育てることをめざして行われるものと言える。
では以下で、人間にとっての道徳...