手形小切手法論文答案練習 手形流通の保護
~融通手形の抗弁~
【問題】
YはAに対して約束手形を振り出したが、それは、Aに金融を得させるために商取引の裏付けのないものであった。Xが事情を知りつつAから無償で手形の裏書譲渡を受けた場合、Yは、Xの手形金請求を拒むことができるか。
【考え方】
融通手形:何ら現実の商取引の裏付けがないのに手形を交付し、被融通者にこの手形を利用して他から割引により金融を得させようとするもの
(命題Ⅰ)
融通手形においては、一方で、被融通者から融通者に対する手形金請求に対しては、融通者は融通手形である旨を対抗して拒むことができるとする必要性がある。なぜなら、融通手形は資金調達のために対価無しに振り出された手形であるからである。
他方で、第三者が単に融通手形であることを知って手形を取得したとしても、融通者は第三者の手形金請求を拒むことはできないとする必要がある。なぜなら、融通手形振出の目的は、振出人の信用によって受取人が第三者から金融を得ることにあり、このような金融の目的は、融通手形であることを知る者によっても有効に割り引かれ、融通手形の抗弁が第三者に対抗で...