日本人がいわゆる「漢文訓読」で中国の古典を読む場合の利点と問題点について説明せよ。
漢字だけで記された漢文の原文を、白文といい、それだけ見て日本語に読み下すことは極めて困難であった。そのため、白文に訓点と呼ぶ記号を付けて、誰でも日本語で読み下すことができるように漢文訓読という方法を作り出してきた。
漢文訓読をするための基本的な決まり事である「送り仮名」「返り点」「置き字」「再読文字」の四つの事項が完全にわかっていれば、漢文訓読をすることができる。つまり、漢文訓読は、決まりごとが体系的に構成されていて、それに従ってさえいれば、誰でも同じように読み下すことができるのである。これは大きな利点であるといえる。また、中国の古典文である漢文は漢字で書かれている。他の国の言語と違って、同じく漢字を使っている日本語とは、きわめて近い言語であることも日本人にとっては利点である。
漢字は、一字に対してひとつ、または、複数の意味を持っている。例えば、「鳥」という漢字は、象形文字でもあり、日本では「とり」という訓読みが与えられ、イメージや意味が分かりやすい。それに対して、英語のbirdは、見ただけでは意味もイ...