「現代社会と福祉第2回」
最近の福祉政策の動向について述べなさい。
これからの福祉政策を、「政府」「地域社会」「市民社会」といった三つの要素から展望してみよう。その前提は、主として現代における福祉問題の生成の場としてのグローバル化と、その福祉問題を解決する場としてのローカル化の視点を、これからの福祉政策の環境的背景として構造化することである。現代社会における福祉政策の展開には二つの方向性が明示される。
一つは、公共空間としての地域社会を再生していく視点である。今日の地域社会は、共同性の衰退、社会的排除、差別と社会的孤立・孤独といった問題群の登場、住民間の摩擦などの福祉問題の生成と解決の場として、不安と期待のなかにおかれている。そうしたなか、往来の社会福祉サービスにおける資源供給は、主として「国民国家」「市民社会」「家族」の三要素で提供されてきた。だが、近年では、前述したように家族が個人化し、家族構成員個々の問題を家族・世帯として受け止めきれなくなったため、そうした問題が社会化する傾向にある。それは、例えば高齢者に対する介護問題、子育て問題、虐待・暴力問題などである。このように家庭内...