1.動機
戦後の日本の経済復興は、「傾斜生産」に象徴される、希少資本を長期金融機関に集中させ、社会戦略的に配分することによって基幹産業を整備することから始まった。以来、銀行を中心とする貸付によって企業資本を得る『間接金融』が日本企業の資本調達の主流となった。しかし、最近の国際競争の流れの中、企業資本を株・債権の発行によって資本市場から調達する『直接金融』への移行が徐々に進行し、インターネットの普及と相まって、現在、個人投資家や外国人投資家の売買が急成長しつつある。直接金融システムへの移行に伴い、日本の産業構造はどうなるのだろうかと考え始めたのが本プロジェクトに取り組む動機となった。
間接金融は、日本の経営者に多様な資金調達の方法を与え、直近の株価を経営の至上目標とすることなく、中・長期的視野に立って労使協調を基盤とする包括的な経営を行うことを可能とした。一方、系列企業群の間で「何でも自前主義」を醸成し、人事・IT・ロジスティクス等の分野において、独自の国際競争力を持つサービス産業を成長させることを妨げてきた面があることもまた事実である。私たちがこのポートフォリオを選択した理由は、アメリカに負けない独立したサービス産業の育成が21世紀の日本にとって極めて重要であると考えたからである。
2.現状・背景
現在、日本では従来の間接金融システム主導の金融システムから、直接金融システムへ移行する機運が高まっている。
1996年、当時の内閣である橋本内閣により「金融ビックバン」に端を発する一連の金融改革が打ち出された。また、1400兆円を超える日本の個人金融資産の内、現金・預金が過半数を占めているが、直接金融システムに基づく株式・出資金などの投資行動を促すため、税制の改革や株式・債券の発行・管理に関する法制度の改革が行われた。これにより、以前に比べて様々な規制が緩和されてきている。
『日本再建』
目次
1.動機
2.現状・背景
3.直接金融システムの必要性
4.間接金融システムの必要性
5.求められる、直接金融システムと間接金融システムのバランス
6.日本の国際競争力を高めるために
7.ファンドのテーマとその理由
8.各業界への投資理由
8-1.ロジスティクス産業
8-2.ソフトウェア産業
8-3.人材
1.動機
戦後の日本の経済復興は、「傾斜生産」に象徴される、希少資本を長期金融機関に集中させ、社会戦略的に配分することによって基幹産業を整備することから始まった。以来、銀行を中心とする貸付によって企業資本を得る『間接金融』が日本企業の資本調達の主流となった。しかし、最近の国際競争の流れの中、企業資本を株・債権の発行によって資本市場から調達する『直接金融』への移行が徐々に進行し、インターネットの普及と相まって、現在、個人投資家や外国人投資家の売買が急成長しつつある。直接金融システムへの移行に伴い、日本の産業構造はどうなるのだろうかと考え始めたのが本プロジェクトに取り組む動機となった。
間接金融は、日本の経営者に多様な資金調達の方法を与え、直近の株価を経営の至...